公開日 2019年01月18日
大会レポート
開会式
主催者を代表して、井上浩実行委員長より、開会の挨拶がありました。
井上実行委員長は「みなさんの緊張を少しでもほぐすのが私の役目」と述べた上で、「多くの応募者の中から選ばれたみなさんです。最終審査に残ったというだけでも、すでにすばらしい成果が出ています。緊張することなく、日頃の実力を存分に発揮してください」と参加者を励まされました。
続いての来賓挨拶では、まず、総務省の赤澤公省大臣官房審議官が登壇され「本大会は、新しい時代に必要となる論理的思考力や問題を解決する力、それから創造力を育むことが期待できます。時代を主導していく人材が多数生まれることを楽しみにしています」と挨拶されました。
また、経済産業省商務情報政策局情報技術利用促進課の中野剛志課長は、「IT人材の数が追いつかない中、中高生がプログラミング作品でしのぎを削る本大会は、日本の経済産業の発展に密接に結びついている大事な経済政策である」とお話された後、経済産業省が取り組む「未踏」と「セキュリティ・キャンプ」の2つの事業を紹介されました。
最後に、文部科学省初等中等教育局情報教育・外国語教育課情報教育振興室の折笠史典室長からは、「テクノロジーが急速に発展し、社会そのものがどんどん変化していく中で、本大会のように、中高生のみなさんがそれぞれの知識や技術、個性を活かしながら、ひとつの作品を作っていくということは大変意義深いものです。ぜひ力を存分に発揮してください」と、エールを送られました。
応募者によるプレゼンテーション
最優秀賞
鳥取県 伊賀 成啓さん
作品名「EASY CODING」
ゲーム部門で見事最優秀賞に輝いたのは、初参加の高校2年生、伊賀成啓さんです。今回、伊賀さんが作ったのは、誰でも楽しみながらビジュアルプログラミングを学ぶことができるゲームです。一般的に教育で使用されているビジュアルプログラミングツールは、やることが定まっていないため、学ぶ側は「何を作るか」というところから考えなければいけませんが、伊賀さんの「EASY CODING」は、初めから「ゲームをクリアする」という明確な目標があるため、迷うことなく、ゲームを楽しみながらビジュアルプログラミングを学ぶことができます。このアイデアについては、「初めは、普通のシミュレーションゲームを作ろうと思っていたんです」と伊賀さん。しかし、ニュースで2020年度よりプログラミング教育が必修化されることを知り、ビジュアルプログラミングツールの要素を取り入れたら面白いのではないかと思ったことから、今回のゲームにたどり着いたそう。審査員からも、「教育的な目的を狙いながら、しっかりとゲームとして成り立っている」と高い評価が集まりました。
伊賀さんがプログラミングの勉強を始めたのは、中学1年生の頃。先輩のお兄さんが本コンテストに出場していたことを知り「格好いい!自分もやってみたい」と、Rubyの本を買って独学で勉強を始められたのだそう。中学生の頃から本コンテストに応募したい気持ちはあったものの、なかなか納得のいく作品ができず、これまで応募を見送ってきたとのこと。しかし、高校2年生となった今年、ついに納得のいく作品が完成し、満を持しての応募で最優秀賞受賞となりました。授賞式では、「このような賞をいただくことができ、大変光栄です。審査員のみなさまからいただいたアドバイスを今後の作品に活かしていきたいです」と力強く語ってくれました。
優秀賞
愛媛県立松山工業高等学校(愛媛県) 千原 安司さん
作品名「SUPER NOVA」
昨年に続き、2年連続でファイナリストとなった千原さん。2年目の今年は、宇宙をモチーフとしたパズルアクション迷路ゲームでのチャレンジです。「地球」「太陽」「月」の3つのキャラクターを動かし、「地球」と「月」を重ねることができればゲームクリアとなるこのゲーム。プレイヤー自身が操作できるのは「地球」と「太陽」だけで、「月」はまるで引力が働いているかのように、自然と地球に引き寄せられる動きをします。うまく「地球」に重ねることができればゲームクリアですが、うっかり「太陽」にぶつかってしまうと「月」は爆発してゲームオーバーに。審査員の中からは「難しい」「なかなかクリアできない」という声があがりつつも、この「月」にだけに違う動きをさせるというアイデアについては、「とてもよく練られたゲーム」「今の頭の柔らかさをずっと持ち続けてほしい」と、感嘆の声が寄せられました。
本コンテスト2度目のチャレンジで、見事「優秀賞」を獲得された千原さん。昨年の「審査員特別賞」から「優秀賞」へステップアップし、満足しているかと思いきや「最優秀賞を狙っていたので…」と、複雑な心境のようでした。でも、「1年生で審査員特別賞、2年生で優秀賞がとれたので、来年こそは最優秀賞を取りたいです」と来年に向けての意気込みを語ってくれました。高校最後の年となる来年、どんな作品を見せてくれるのか、楽しみにしています!
審査員特別賞、Matz(マッツ)賞
滝沢第二中学校科学技術部 チーム はこ(岩手県) 高橋叶汰さん 半澤渉さん
作品名「Calculation BOX」
プログラム担当の高橋叶汰さんと、素材担当の半澤渉さんの中学3年生コンビが作ったのは、「Calculation BOX」という「計算」と「一筆書き」が融合したパズルゲームです。パズルの上に数字が並んでおり、プレイヤーはその数字を足しながら、決まった歩数で、最終的に1の位が「0」になるルートを選んで進んでいきます。歩数をオーバーしても、和の1の位が「0」にならなくてもゴールできません。ちょっとした頭の体操のようなこちらのゲーム、「小学生低学年でも遊べるようなゲームを意識した」というお二人に対し、審査員からは、「おじいちゃんおばあちゃんたちの頭の体操にもいい。早目に特許を出すべき」など、アイデアを高く評価する声があがっていました。
今回プログラムを担当した高橋さんは、もともとゲームが好きで、自分でも作ってみたいと思ったことから、プログラミングを始めたのだそう。今回のアイデアについては、もともと高橋さんが構想を練っていましたが、なかなかクリアできない難しい内容だったそうで、そこに半澤さんから出たアイデアを加え、二人の案を混ぜ合う形で完成したのだそう。
今回は、惜しくも審査員特別賞となりましたが、実は「優秀賞」争いで激戦を繰り広げていたことが授賞式で明かされ、結果、まつもと審査員長による「Matz(マッツ)賞」を獲得されました。これにはお二人も「はじめてのゲームを作り上げ、プレゼンできただけでもすごくいい経験になったのに、Matz(マッツ)賞をいただくことが出来て、いい思い出になりました」「初代Matz(マッツ)賞受賞者になれてうれしいです」と、驚きと喜びの声をあげていました。
審査員特別賞
滝沢第二中学校科学技術部 チーム Syake(岩手県)高橋亮太さん
作品名「岩手の鮭」
高橋亮太さんは、本コンテストの常連校である滝沢第二中学校科学技術部の3年生。プレゼンテーションのトップバッターを切るという大役を務めてくれました。今回、高橋さんが作ったのは、「岩手の鮭」という、地元の「南部鮭」を主人公にしたゲームです。鮭を題材にした理由を聞いてみると、「ゲームの中に、キャラクターを成長させる工程を入れたかったんです」と高橋さん。稚魚からスタートし、成魚に成長する鮭は、高橋さんの構想にぴったりだったそう。また、高橋さん自身、鮭が大好きで、お寿司屋さんではサーモンばかり食べているそうで、自分の好きなものと絡めたことで「今回のアイデアは苦労せずに思いつくことができました」と語ってくれました。また、岩手の南部鮭は、秋鮭では本州一の漁獲量を誇っており、「県民に親しまれている岩手の鮭を、たくさんの人に知ってもらいたい」という気持ちもこのゲームには込めているそうです。そんな郷土愛溢れるこちらのゲーム、「よくできている」「ここまで面白くしたのはすごい才能」と、審査員にも好評でした。
全参加者の中で、トップバッターだったプレゼンテーションについては、「緊張しましたが、すべてを出し切れたのでよかったです」と、ほっとした表情を見せていました。
審査員特別賞
滝沢第二中学校科学技術部 チーム 免疫(岩手県) 畠山響さん 佐藤零峻さん
作品名「Immunity's War」
今大会の最年少ファイナリストとなったのは、畠山響さんと佐藤零峻さんの中学2年生コンビです。二人とも初応募で、見事ファイナリスト入りを果たしました。今回二人が作ったのは、「免疫」を題材としたゲームです。実際に私たちの体の中にある4つの免疫をキャラクターとし、病原菌を倒しながらゲームクリアを目指します。「免疫」というユニークな題材にたどり着いたきっかけは、「たまたま手にとった本に、たった1ページですが免疫の話が載っていて、それがすごく印象的だったんです」と畠山さん。プログラム担当の畠山さんが構想を練り、デザインなど見える部分を佐藤さんが手がける形で、今作品が完成しました。苦労した点を聞いてみると、免疫の働き調べ、キャラクターの性質に反映させていったところが大変だったそう。審査員からは、「ゲームとしてすごく面白い」「ユーザーボイスを聞いて、それを踏まえて改善していくとさらによくなる」などとコメントが寄せられました。
中学2年生、最年少でのプレゼンとなりましたが、緊張の中にも、すべてを出し切れた様子。「来年はもっと上を目指していきたいです」「来年ですね!」と、それぞれ来年への意気込みを語ってくれました。
審査員特別賞
愛媛県立松山工業高等学校(愛媛県)林 晃太郎さん
作品名「one rabbit」
初めての応募で、見事ファイナリストとなった、高校1年生の林晃太郎さん。今回林さんが作ったのは、キャラクターの「うさぎ」を操り、かつ、Mapを回転させながらゴールを目指すパズルゲームです。Mapを回すと、上からブロックが落ちてくるため、しっかりとうさぎの場所を考えてから回さないと、落ちてきたブロックにうさぎがぶつかってしまいます。これには審査員からも「難しい」「なかなかクリアできない」とうなる声も。しかしながら、「この発想は頭が柔らかい」「その柔軟な発想をずっと持ち続けてほしい」と高く評価されていました。
高校入学後にプログラミングをはじめたという林さんは、プログラミングの経験は、まだまだ半年も経っていないそう。そんな中、部活の先生に勧められ、本大会への応募を決意しました。今回のゲームの着想はどこから得たのかを尋ねてみると、「新しくジャンプのプログラムを覚えたので、それを使って何かゲームを作ってみようと思ったんです」と林さん。それで、最初は迷路ゲームを作ったそうですが、それがまったく面白くなく、Mapを回転させたらどうかと思いつき、今回のゲームが生まれたのだそうです。締め切りのギリギリまで、バグが出ては修正する、を繰り返す大変な日々だったそうですが、すべてを終えた今、「はじめてのプレゼンで緊張しましたが、肩の荷が降りました」とホッとした表情で語ってくれました。これからの活躍が楽しみな高校1年生です。
審査員特別賞
愛媛県立松山工業高等学校(愛媛県) 篠﨑 侑雅さん
作品名「Panel Vanish」
現在、高校3年生の篠﨑さんは、高校1年生の時に、同じ部活の仲間とチームを組んで「優秀賞」を受賞して以来、なんと3年連続ファイナリストとなった実力者。「今年こそは、最優秀賞を獲りたい!」という並々ならぬ思いのもと、今大会にぶつけてきたのは「Panel Vanish」というパズルゲームです。篠﨑さんの今大会へかける気持ちは強く、ゲームの構想は昨年の最終審査会終了後すぐに練りはじめていたのだとか。しかし、なかなかよいアイデアが浮かばず、友人に相談をしながら作っては直して作っては直してを繰り返して、ようやく今作品が完成したのだそう。「誰でもできる楽しめるゲーム」をコンセプトに作ったという今作品は、審査員からは「ゲームとしての完成度が高い」「スマホに向いている。スマホゲームにも挑戦してみては?」などとコメントが寄せられていました。
高校3年生の篠﨑さんにとって、最後の挑戦となった今大会。篠﨑さんにとってこのプログラミングコンテストはどんなものだったかを尋ねてみると、悔しさをにじませながらも、「来年からはゲーム系の専門学校に進むことが決まっています。将来に向けたよい経験になりました」と語ってくれました。これからの活躍も楽しみにしています!
最優秀賞
東京都 小林 心さん
作品名「Quiz Note」
クリエイティブ部門で見事最優秀賞に輝いたのは、地元・三鷹市在住の高校2年生、小林心さんです。高校のクイズ研究部に所属し、テレビのクイズ番組への出演も果たした経験があるという小林さん。そんな小林さんが作ったのは、プログラミングの経験がない人でも簡単にクイズの「得点表示」を作ることができるアプリケーションです。クイズ人気が高まり、毎週末のように全国各地でクイズ大会が開かれる中、画面に映し出せる「得点表示」の需要が高まっていますが、誰もがプログラミングをしてそれを作れるわけではありません。そこで、クイズ研究部に所属し、かつ、プログラミング経験のある小林さんは、「自分が作ることで、全国の人を助けられるんじゃないか!」と思い立ち、今作品の制作に至ったのだとか。完成した作品を、クラウド・アプリケーション・プラットフォーム「Heroku」にアップしたところ、高校生だけではなく、大学生にもユーザーが広がり「使い勝手がよくて驚いた」といった声があがっているそう。審査員からも、「身近な課題を、テクノロジーを用いてシンプルに解決しているのがすごくいい」と高い評価を受けました。
三鷹市在住の小林さんがプログラミングをはじめたのは、中学生の頃。月に1回、まちづくり三鷹が主催する「Rubyくらぶ」に通い、プログラミングを学んできました。今作品も、もともとは応募しようという気持ちはなかったそうですが、「Rubyくらぶ」の方から勧められたことをきっかけに応募してみたところ、見事、最優秀賞を受賞しました。この結果には「まさか最優秀賞をとれるとは思っていなかったのでびっくりしました」と驚きつつも、「自分の作りたいものを作れたのが一番うれしいです」と喜びを語ってくれました。
優秀賞
埼玉県 佐野 晴輝さん
作品名「minepics」
初出場の高校1年生、佐野さんが作ったのは、サンドボックスゲーム『Minecraft』に特化したコミュニティサービスです。中学生の頃から、『Minecraft』が大好きだったという佐野さん。もともとは、ブロックを配置してつくった自分の建築作品をツイッターなどのSNSに投稿していたそうですが、それでは他の情報に紛れてしまい、見にくさを感じたことから『Minecraft』だけのコミュニティサービスを作ろうと思い立ったそう。今年の6月にサービスをオープンし、すでに約1,800人のユーザーを抱えるほどのコミュニティに成長したそうです。「公開後に不具合が見つかって、毎晩のように修正に追われたり、フィードバックに対応したアップデートが大変でした」としながらも、今回の作品を通して、自分が作った作品が多くの人に影響を与え、喜んでもらえることを実感したそうで、「プログラミングは夢のような道具です」と語ってくれました。
現在高校1年生の佐野さんがプログラミングを始めたのは、中学3年生秋。「プログラマーになること」を目標に、この春から高校に進学し、プログラミングを専門的に学んでいるそうです。授賞式では「大勢の前でプレゼンするのは今回がはじめてでしたが、優秀賞をいただけてとてもうれしいです。これからもがんばります」と意欲を語ってくれました。すでに来年のプログラミングコンテストに向けても動き出しているそうで、今度はどんな作品を見せてくれるのか、来年も楽しみにしています!
審査員特別賞
愛媛県立松山工業高等学校(愛媛県) 篠﨑 侑雅さん
作品名「自動インデント機能」
3年連続でファイナリストとしての出場を果たした高校3年生の篠﨑さん。最後となる今年は、ゲーム部門に続き、クリエイティブ部門でも決勝進出を果たしました。2作品出した理由を尋ねてみると、「もともと2つ出すつもりはなかたんです」と篠﨑さん。しかし、ゲームのアイデアがなかなか降りてこず、その間に自分の技術の向上も兼ねて、「こんなサービスがあったらいいのにな」と思って作ったのが、今回の「自動インデント機能」だったのだとか。せっかく作ったのだからと先生に勧められて応募したところ、見事、クリエイティブ部門でもファイナリストとなりました。
高校最後の年に、ゲーム部門とクリエイティブ部門の両方でファイナリストとなった篠﨑さんですが、やはり最優秀賞を狙っていただけに、「審査員特別賞」という結果には悔しさをにじませる姿も。その向上心は高く、授賞式後の懇親会では、「今回受賞できなかった思いは、スモウルビーの大会にぶつけたいと思います」と意欲を語ってくれました。
特別講演
講演タイトル「現代のゲーム開発レシピ」
登壇者:ネイロ株式会社CEO/クリエイティブプロデューサー 平井 武史 氏
ゲーム業界に入って28年という平井さんは、人気ゲームの「シェンムー」シリーズ、「メテオス」シリーズなどを代表作に持つゲームプロデューサーです。今回の特別講演では、「ゲームとは何か」「ゲームプログラマーになるには?」という2つのポイントでお話くださいました。
初めに、参加者のみなさんに向けて「ゲームとは何かわかりますか?」という問いかけが。ゲームとは、まずルールと勝敗があって、さらに面白いということが大事だと平井さんは語ります。そして「ゲームは、人の心に残ってはじめて“商品”になります。そうでないものは、単なる“作品”でしかありません。ゲームは、“商品”であり、人の心の中に残っていくものだということを、まず覚えてください」と会場の中高生に呼びかけました。
でも、どうやったらそのような“商品”を生み出すことができるのでしょうか。それには、「タイミング」「リスク・リターン」「3すくみ」を例にあげながら、「ゲームには必ずかけひきがある」ということを教えてくれました。ただ、それだけで面白くなるわけではありません。かけひきに加え、平井さんたちプロがゲームを作る時には「モチベーションサイクル」という、“興味の循環”を考えるのだそう。モチベーションサイクルについては、ピザの宅配サービスや、人気ゲーム「どうぶつの森」を例にお話くださり、中高生も興味深く耳を傾けていました。
そして、最後には、「ゲームプログラマーになるには?」では、平井さんがゲームづくりをしていく上で、大切にしていることのお話がありました。平井さんが大切にしているのは、「ゲームをするお客様に、新しい体験をしていただくこと」なんだそう。より本物に近いものが嗜好される時代の中において、ゲームプログラマーには、“表現力”と“再現力”が非常に大事だと平井さんは語ります。「それには、自分自身が“体験すること”が大切です。プログラムを書けることも必要ですが、ゲームプログラマーになるには、それ以外の体験もたくさん積み重ねていってください」と中高生にエールを送り、特別講演の幕を閉じました。
講評・講演
講演タイトル「プログラミングの世界」
登壇者:まつもとゆきひろ審査委員長
講演の前に、今大会の講評がまつもと審査員長より行われました。ゲーム部門の最優秀賞「EASY CODING」については、「課題を明確に定義することで、とてもいいビジュアルプログラミング入門になっている」と高く評価。優秀賞の「SUPER NOVA」については、“パズルゲームとしてのゲーム性の深さ”を評価されての受賞となったそうです。それから、惜しくも審査員特別賞となった「Calculation BOX」については、最後の最後まで「SUPER NOVA」と優秀賞を争ったとのこと。結果的に優秀賞は逃したものの、シンプルな中にも奥深いゲームであった点を評価され、今年から新たに設けられた審査員長特別賞「Matz(マッツ)賞」が贈られました。
続いて、クリエイティブ部門の最優秀賞「Quiz Note」については、クイズ人気の高まりに応じて、世の中のニーズにあったツールを作った点を高く評価されました。優秀賞の「minepics」については、コミュニティの運営や実用的なwebサイトの構築を、高校一年生で実用レベルにまで実装した点を評価した上で、「2000人近いユーザーを集めているのは本当に素晴らしい」と、その実績を称えられました。
講評の後は、いよいよまつもと審査委員長による講演「プログラミングの世界」です。
現在、島根県にお住まいだというまつもとさん。今朝も、島根から東京へ飛行機で来られたそうで、テクノロジーが発展する前は、それこそ片道一ヶ月もかかっていたであろう道のりを、今や日帰りできる世の中になっているということに触れながら、「テクノロジーがいかに私たちのライフスタイルや社会を変えてきたか」についてお話されました。
テクノロジーと言えば、コンピューターも、私たちの世界を変えてきたテクノロジーのひとつです。かつてコンピューターは「計算する機械」だったそうですが、その役割はどんどん変化し、今や、適したソフトウェアを使ったり作ったりすることで、目的が限定されない機械となりました。そして、そのソフトウェアを開発環境もどんどん改善されてきました。しかし、世の中の人が全員プログラミングをするかと言うと、そうではありません。そこには見えない「心の壁」があり、その壁を乗り越えてくる人と、乗り越えてこない人がいると言います。まつもとさんは、「今会場にいる中高生のみなさんは、すでに第一歩を踏み出しているみなさんであり、ぜひテクノロジーの力を持って、これからの社会を変えていってください」と呼びかけられました。
閉会式
株式会社まちづくり三鷹代表取締役会長兼、三鷹市副市長の内田治より閉会の挨拶がありました。内田会長はまず、「今年は本当にレベルが高く、応募総数90組の中からこの最終10組に残ることが、まず大変な大会となりました。みなさん賞の違いはありますが、とても高く評価されているということに、自信を持っていただきたいです」と参加者を称えました。そして、「ぜひこれからも、昨日よりも今日、今日よりも明日のほうがもっと成長できると信じて、それぞれの地域に戻られてからも勉強に励み、これからの将来を担う人材になってくれることを期待します」と述べられた後、応募者をはじめ、協賛いただいた企業、運営に携わった実行委員へ感謝の意を表し、第8回目のプログラミングコンテストは無事に閉会しました。
取材・文:釘宮 優子、山田 律子(株式会社ヴィブラント)/撮影:小川 雅代(ぷらすいろ)